エッセイ

-鋭意執筆中!-

はしがき
(新々一歩いっぽより)

(平成から令和に)

平成から令和に。平成天皇が退位されて上皇になられ、皇太子殿下が新天皇に即位された。

10月22日、皇居松の間に据えられた高御座で「即位の礼正殿の儀」が古式ゆかしき伝統様式に順って挙行された。陛下は「日本の発展と世界の平和が継続されることを願う」と宣言された。まさに内外に令和の時代を宣言されたのだ。平成から令和へ。日本は新しい時代を迎えた。

しかし、平成の時代の課題は、そのまま令和に引き継がれたと言える。それだけに、令和は平成の課題を解決する時代にしなくてはならない。それが令和に生きる私たちの責務であろう。

(安全の確保)

その第一は、安全の確保。来年1月17日には、あの阪神・淡路大震災から25周年の節目を迎える。節目は、単なる通過点ではあるが、過去と現在と未来をこの節目が繋いでくれるだけに、節目が大事なのだろう。私たちは、阪神・淡路大震災の経験や教訓を忘れてはならない。しかし、何か、阪神淡路が風化しつつある懸念を感じる。私たちは過去の災害に学ばなければならない。それだけに、もう一度あの厳しかったその日からスタートしなければならないのではないか。そのためには、まず阪神淡路を忘れてはならない。しかし、体験した人は被災地でももう半分もいない。したがって、その体験や教訓を伝えなくてはならない。この経験や教訓を活かして、未来の南海トラフ地震に備えなければならない。まさに「忘れない」「伝える」「活かす」「備える」の安全対策を計画的に進めていかねばならない。改めて、25周年の1月17日はそのスタートとしたい。

それにしても、令和に入ってから異常気象が続いている。8月豪雨、台風15号、19号などひっきりなしだ。しかも、台風のルートが従来と異なり、関東、東北、甲信越が襲われている。雨の降り方も、一年分の雨の3~4割が2日で降るなんて、想像を超えている。治水体系を根本的に見直す必要がある。兵庫でも相次ぐ台風や自然災害の復旧、復興で河川の安全度を格段に増しているにしても、このような状況を踏まえることが必要となる。

(安心の確保)

第二は安心の確保だ。少子化高齢化が進み、すでに、日本も兵庫も、全体としては人口減少になっている。しかもそのスピードが著しい。2025年問題といわれる課題は、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることに伴う諸課題をいう。兵庫でも75歳以上人口は約30万人増加して90万人を超える。もし、要介護度が今と同じ割合としても4万人は増加し、特別養護老人ホームなどの介護施設が不足し、在宅介護の体制を整備しなければならない。24時間在宅介護随時サービス事業所などの体制づくりが急がれる。在宅医療もそうだ。在宅看護事業所も看護師不足のなかで整備しなければならない。一方で、年金など老後の生活の保障の問題も深刻となる。今回の消費税の税率アップとともに、幼児教育の無償化、高等教育の無償化など全世代型社会保障に取り組むこととされているが、財政負担とのバランスの問題もある。安心できる生活が希求される所以である。

(産業、経済)

第三に、産業・経済の発展・成長。平成はデフレ経済の克服を目指した時代だったが、これも令和に引き継がれている。低金利、マイナス金利による投資促進対策が継続している。景況感は乏しい。しかし、有効求人倍率が示すように人手不足の状況になる程、雇用安定が続いている。物価目標2%の達成や数%の経済成長が期待されている。本県経済も回復基調とされているが、米中経済摩擦、欧州経済の動向、日韓問題などから先行き輸出の停滞の懸念、生産の伸び悩みなどにより、企業業績の減退、税収の減などが心配される。

さらに、今後新しい情報社会の展開が予想されている。ソサエティ5.0の到来だ。AIやIoTなどの社会的装置化により劇的に社会構造が変わるといわれる。人工知能やロボットが2045年には人の能力を超える技術的特異点シンギュラリティがくるという人もいる程だ。それ程AI化やロボット化の進展が著しいということだろう。それだけに、この動きへの社会構造の変化に対応していかねばならない。私たちは、航空機、ロボット、創薬、健康、水素等エネルギーなどの先端産業を兵庫の強みであるものづくり産業の基盤のうえに生成していかねばならない。

もう一つ重要なことは、マンパワーのあり方ではないか。情報社会になればなる程、人と人との関係、繋がりが大切になる。AIやロボットは手段であって人のためにどう活用していくかが基本であることを忘れてはならない。目的と手段を誤らないことだ。

そのためにも、意欲的な人たちの新世界への挑戦が欠かせない。事業を起こす起業や事業の立ち上げワークアップ、お互い刺激しながら新しいビジネスを起こすコワーキングなどの新しい働き方を促進していきたい。

(人口減少対策)

第四は、人口減少対策。人口減少は少子高齢化の結果ではあるが、これは自然減の構造的問題であると基本的にはいえる。つまり、少子高齢化に伴い高齢者の死亡数と新生児の誕生数との差が減少として表れている。何しろ子どもの数が少ない。兵庫県でも平成30年は4万人そこそこ、ベビーブーム時代は10万人を超えていたのだから。しかも晩婚化、未婚化が拍車をかけている。ともかく、若い女性の県外流出を止めねばならない。

しかし、少なくとも社会減は止めねばならない。特に、本県の社会減は平成30年で6000人もある。その大部分が20代の若者の流出となっている。兵庫には大学が37、短大高専を含めると56あるので、10代の社会減はないものの、20代、とくに就職期に県外へ70%が流出してしまう。若者の県内就職対策と第二新卒といわれる就職初期の転職者のカムバックを期することが大事である。

これだけ少子化が進行しているが故に、新たなマンパワーの確保、高齢者、女性、障害者、ひきこもりの人々の社会参加の促進が社会的対策となる。そのうえで、外国人の協力を得ることだろう。昨年一年間で新規外国人就業者は約5000人と増加している。否応なく多文化共生社会が進行していくのだから。

この社会減は、東京一極集中によってもたらされている。もう東京圏以外は全て人口減少地域となっている。ここに集まる人々こそ若者なのだ。仕事や情報、生活の豊かさ、文化などを求めて東京に集まる若者の流れをどう地方に向けさせるのか。地方の持つ魅力に磨きをかけねばならない。地方の地域資源を活かす必要がある。歴史、文化、自然、そして生活空間などをフルに発揮していくのだ。

(ポスト震災復興)

第五は、ポスト震災復興。まちづくりや社会基盤整備だ。いままでは、阪神・淡路大震災からの復旧復興に専念せざるを得なかったが、25年程度を経てようやく新たな本格的投資ができるようになってきた。県庁の一号館、二号館は建築後50年経過し、あの大震災を経験していることもあり、耐震係数が0.3で、望ましい数値0.9、必要とされる数値0.6をはるかに下回っているので、建て替えることを基本に、周辺のまちづくりを検討しながら建て替えることとしている。また、従来、多額の整備財源とのかねあいで、対応できなかったプロジェクトが進行し始めてきた。大阪湾岸道路西伸部、北近畿豊岡道、山陰近畿道路の整備促進、名神湾岸線、播磨臨海道路などの事業化など道路だけでも大きく進展しつつある。これからの兵庫を支える基盤であるだけに、全力を投資していきたい。

(交流、環流)

第六は交流、環流対策。定住人口の減少を交流人口、そこを訪れる人の数でカバーすることは、人口対策の柱でもある。交流人口を増やす大きな施策こそ観光だ。地域資源を活用して兵庫を訪れる人々におもてなしをする。兵庫は日本遺産も8遺産あるポテンシャルの高い土地柄だけに、この利点を活かさない手はない。兵庫の魅力を売り込まなくてはならない。また、十分な歓迎体制を整えることも必要だ。

もう一つ、関係人口だ。兵庫県と何らかの関係のある人を増やす。典型は、兵庫を故郷とする人々、県出身者、大学、企業など兵庫で学んだ人、勤務した人、兵庫を訪れたことのある人などの兵庫と関係がある人たちだ。この方々に兵庫との関係を大切にしてもらう活動を展開していくことが必要だ。兵庫県外県民登録制度、e-県民制度もこの関係人口の方々に、県外県民になってもらう仕組みの一つ。専用アプリで各種情報も提供されるのでぜひ協力願いたい。

(財政運営)

第七は、適切な財政運営。兵庫県の財政は、あの阪神・淡路大震災からの復旧、復興の過程でこれら事業10年間の総事業費16兆3千億円のうち、兵庫県の財政負担が2兆3千億円の巨額に達した。このうち1兆3千億円を県債により賄わざるをえなかったため、地方財政計画等で一般的な県としての行財政運営以上の特に公債費の元利償還を強いられることとなった。したがって平成12年から財政力指数をメルクマールとして財政運営をしてきたが、基本的な行財政構造までの改革を行う指標ではなく、単に毎年度収支不足を県債の発行、借金で賄うことで対応できた。しかし、平成17年の三位一体改革により、地方交付税の大幅な削減が断行されたため、本県も含め地方財政の危機が到来した。単年度の収支不足も1千億円を超えてしまっていた。もはや、一刻の猶予もできない。したがって、議会とも相談して、条例により行財政運営の枠組みをつくり、その枠組みの中で行財政運営を行い、行財政の構造改革を行っていくこととした。「行財政構造改革の推進に関する条例」に基づき、「行財政構造改革推進方策」を議会の議決を経て定めて、平成20年度から平成30年度までの計画期間に組織、定数、給与、事務事業、投資事業、外郭団体など全分野の見直し改革を実施し、平成30年度には財政収支の均衡、赤字脱却を目指すこととした。

平成30年度の決算でついに行革推進債や退職手当債という収支不足を補てんする借入金を調達することなく、収支均衡、わずかな黒字決算をすることができた。まさに10年の積上げ努力の結果であるが、県民、議会、職員その他関係者の協力と支援に心から感謝したい。

しかし、収支が好転したとしても、未だ震災関連県債は3,600億円の残高があり、これは基本的に10年で償還する必要がある。加えて、この行財政構造改革の期間中に、収支不足を補うために発行した行革推進債と退職手当債の残高は2,900億円に積み上がっており、これは基本的に30年償還としても、毎年約100億円の元金償還が必要となる。つまり、震災関連県債の償還360億円と財源対策債の償還100億円計460億円の元金償還が必要となり、利息を含めると毎年500億円の公債費負担となることになる。

行財政構造改革を成し遂げたといえども、毎年、地方財政計画では措置されない、他県にはない追加的財政負担を抱えた財政運営があと10年続くこととなる。したがって、「行財政の運営に関する条例」を議会に議決いただき、これに基づき「兵庫県行財政運営方針」を定めて、この枠内で行財政運営を行うこととしている。この枠内であれば、少なくとも毎年の収支均衡をめざした行財政運営を行いながら、県民のニーズに対応していくことができる。それ故、県民の県の行財政運営への信頼を確保し、県民のニーズにも応えていけることを期したものだ。

これから10年間、これまでの行財政構造改革の礎のもとに、さらに適正な行財政運営を進めていくこととしている。

(令和に解決)

このように、令和の課題を令和の時代に解決していかねばならない。課題は課題として認識するだけでなく、適切な手立てを立てて、対策を積み重ねることが大切である。私たちは、兵庫の明日をめざして歩み続けねばならない。県政150年に際して策定した「2030年の展望」は、兵庫の成立ちの基礎となる5国を連携して、日本をリードしてきた兵庫が世界とも連なりながら、豊かな兵庫らしい空間をつくり、充実した県民生活を実現しようとするものだ。私は、この「すこやか兵庫」をめざして、さらなる努力を重ねると決意している。

このように、令和の課題を令和の時代に解決していかねばならない。課題は課題として認識するだけでなく、適切な手立てを立てて、対策を積み重ねることが大切である。私たちは、兵庫の明日をめざして歩み続けねばならない。県政150年に際して策定した「2030年の展望」は、兵庫の成立ちの基礎となる5国を連携して、日本をリードしてきた兵庫が世界とも連なりながら、豊かな兵庫らしい空間をつくり、充実した県民生活を実現しようとするものだ。私は、この「すこやか兵庫」をめざして、さらなる努力を重ねると決意している。

すこやかな 兵庫をめざす県民の
歩みは止(や)まず 明日を求めて